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超環境グループ

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グループ紹介

  極低温,高温,強磁場などの特殊環境で動作するアクチュエータや,空圧,電磁アクチュエータの小型駆動源の開発を行っています.使用環境や目的に応じて,超音波,電磁,流体といった動作原理を使い分けています.

研究内容

極低温超音波モータ

  液体ヘリウム温度(4.2 K, -269℃)付近の極低温環境では、超伝導・超流動などといった室温では見られない量子力学が支配的な現象を生じるため、最先端科学の分野において重要な役割を担っている。一方、極低温環境中において高速回転駆動を実現するデバイスは存在せず、装置の大型化や応用・実用範囲に限界が生じていた。
  本研究では、液体ヘリウム温度付近において回転駆動可能な超音波モータを開発している。
  室温で使用されるアクチュエータを極低温環境へ適応すると、室温から極低温までの300℃近い温度低下により、破損や動作不能が生じる。本研究では、温度依存の非線形特性を考慮した有限要素法解析を確立することで、極低温において高出力を実現するボルト締めランジュバン型振動子を実現した。また摺動部などを始めとする機械要素に対して、極低温用の設計手法を確立している。
  以上より、極低温環境において従来の400倍となる回転数422rpm、起動トルク1.3μNmを実現する超音波モータを実現している。この回転数は、極低温環境に設置可能な小型アクチュエータとして世界最高値である。

極低温モータ

強磁場モータ

強磁場モータ

  核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)は、分子構造の情報の取得、人体内部の観察など、広範囲な分野にわたり欠かすことのできない手段に発展してきている。固体高分解能核磁気共鳴分光法(固体NMR法)は、非晶質な試料の微視的な構造や分子運動を詳細に研究することが可能である。試料を回転させる方法として、高速高精度回転が可能な空気圧タービンが一般的に用いられている。
  一方で、極限環境下においてNMR法を行うことで、ノイズの低減や物性の変化を調べることが可能である。しかし、極限環境において空気圧タービンを用いた場合、システムが大型・複雑化する。また、空気圧を使用したシステムに真空、高圧環境を適応することは駆動原理上、困難である。以上より、様々な極限環境下において複雑なシステムを用いずに使用できるアクチュエータが必要とされている。
  超音波モータは構造が単純なため小型化に適している。また、摩擦駆動のため磁場の影響をほとんど受けないといった特徴を持っている。さらに、極低温環境や真空環境への応用も期待されている。本研究では、7Tの強磁場環境下で試料の測定を行う固体NMR法の試料回転機構へ超音波モータを応用し、固体試料を分析することを目的としている。

電磁ワブルモータ

  近年、携帯電話やTVリモコン等には操作デバイスとしてロータリースイッチが用いられている。これらのスイッチは、操作にクリック感や弾性を伴うなど様々であるが、基本的に一定の力覚を受動的に提示するのみである。任意の力覚を能動的に提示するスイッチが実現できれば、機器の操作性の向上が期待できる。本研究室では、減速機能を内蔵したステッピングモータであるニューテーションモータおよびワブルモータの薄型化を試み、携帯機器向け力覚提示デバイスへ応用することを目的としている。
  本研究室で開発した薄型電磁ニューテーションモータの安定駆動化を行い、安定駆動に成功した。さらに、高速回転化、高トルク化を目的として、直径30mm、厚さ5mmの減速機内蔵型ステッピングモータである電磁ワブルモータの開発を行った。最高回転数8.6rps、最大トルク0.368mNmを達成した。また、駆動周波数280Hzでの滑らかな回転を実現した。
  開発した薄型電磁ワブルモータを力覚提示スイッチへ応用し、バネ感、摩擦感、粘性感の提示に成功した。

電磁ワブルモータ

携帯ガス圧源

携帯ガス圧源

携帯ガス圧源(実機)

  空圧アクチュエータは様々なユニークな特性をもっているが、空気圧源が必要なため利用範囲が限られていた。本研究室では、電池で動く空圧アクチュエータの研究を行っている。
  開発した圧力制御装置は、固体高分子形燃料電池(PEM)を内蔵している。PEMは電解質膜と白金電極を重ねた構造となっており、水の電気分解/合成といった可逆化学反応を電流によって切り替え可能である。これにより発生気体の圧力を容易に調整可能となっている。
  また、水の合成時に燃料電池として働くため、今まで行われなかったエネルギー回生ができ、小型で騒音がない、高効率な圧力源が完成している。
  現状では、数秒で圧力増減を制御できており、エネルギー効率も14%向上できている。